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美味しさの秘密(語り/合資会社緑屋本店 代表社員 青木 一幸)
緑屋本店は、明治35年から四代続く醤油と味噌の老舗の醸造元です。熟練の職人による伝統の製法を守りつつ、 現在では食の安全という今日的課題にも対応する衛生的な設備環境を整え、120年余という長きにわたりこの熊本・人吉から、地元のお客様のみならずご愛顧いただく全国のお客様に変わらぬ味をお届けしています。
人吉は地理的には南九州に位置していますが、地形は盆地で「九州の小京都」と言われるような土地柄です。日本遺産にも指定されている文化的側面からそう呼ばれるところもありますが、気候は本当に本元の京都に似て夏は本当に暑く、冬は底冷えがするほど寒く朝晩の寒暖差も大きいところです。
醸造の過程においてはご承知のとおりそれなりの温度が必要となりますが、一方で仕込みの際にはある程度気温は低い方が好ましいとされます。そういう点では人吉の自然環境は弊社のような醸造業には好適な土地ではないかと思います。
醤油はいろんな種類を製造していますが、 主としては大豆から抽出した植物由来のアミノ酸液というものを混合して製造する南九州独特の醤油を製造しています。味は関東のいわゆる塩味を感じる醤油と比べてコクとうま味の強い少し甘めの醤油になります。
味噌についても九州は麦味噌という印象が強いですが、弊社では職人が手仕事で丹念に仕込んだ米と大麦の「あわせ麹」から造る米麦あわせ味噌も得意としています。麦の豊穣な風味に加えて、米のまろやかな甘みが加わったふるさとの味としてご愛顧いただいています。